06 SION(シンガーソングライター) | 福山雅治30周年スペシャル企画 七人の男が見た「至近距離の真実」
Fukuyama
FUKUYAMA MASAHARU 30th ANNIVERSARY 30周年スペシャル企画 七人の男が見た「至近距離の真実」 30年の間に、福山さんと仕事をしてきたアーティストやクリエーターたちに話をお伺いしました。 福山さんと向き合う中で生まれたさまざまな想いやエピソードが詰まったTRUE STORY。 福山さんの才能を引き出し、運命を変えた(かもしれない)方たちの語りをお楽しみください。
目次
  • 01 大泉洋(俳優)
  • 02 大友啓史(『龍馬伝』演出家)
  • 03 木﨑賢治(「Good night」音楽プロデューサー)
  • 04 千葉幸順(コンサート制作会社社長)
  • 05 萬年里司(音楽プロデューサー) × 06 川上泰司(宣伝プロデューサー)
  • 07 SION(シンガーソングライター)

06 SION(シンガーソングライター)

06 SION(シンガーソングライター)
06 SION(シンガーソングライター)

福山へ。30周年おめでとう。おめでとうだけど今年は新型コロナで世界中が大変なことになってしもうたね。こんなことがあるのかと、、、とにかくこれ以上にならないようひとりひとりが気をつけるしかないんだけど、、、コロナめ、目に見えたらうちくらしてやるのだが、、そのときはマーシャルアーツの達人福山にも助っ人頼む。福山はマーシャルアーツだけじゃなくて空手に柔道にあと着物の着付けとコメ検定の資格もあるんだっけ(冗談で言うてるけど持ってても「あ、そうなんだ」と思える福山の不思議)。

今回30周年記念LIVEをみんなを思って中止にしたとか、だけどスタジオからみんなに届けたとか、携帯のニュースで見たよ。素晴らしい! 俺も福山の1000分の1くらいの規模だけど4月のツアー中止にしました。

30年かぁ、、俺は35年、、「あれから40年!」のきみまろさんの世界がすぐそこになってしまうよ、うわっ! でござる。そしてこれも携帯のニュースで見たんかな、昔その人、美空ひばりさんに「芸歴は売れてから数えるのよ」言われたそうで。そしたら俺まだデビューしてないっちゅうことになるがな。あちゃー。

福山と最初に会ってからずいぶん経つけど会ったのは数回で、呑んだこともほとんどないような。だけどなんて言うんだろ、俺は福山を歌とか関係ないとこで勝手に近くに感じてるんだな(福山ファンの人に「殿様に素浪人が馴れ馴れしくするな!」言われそうですが)。そしてあれはもう10年くらい前になるんかな、龍馬伝の打ち上げで 「SORRY BABY」を福山のギターで2人で歌ったのもかなり楽しかった。そういえばこの前若い人に言われたよ。「SIONさん福山さんの『SORRY BABY』カバーしてるんですね」と。「ん?そうなんよ」と返事しました。

SIONさんへ

SIONさん、お手紙ありがとうございました。お手を煩わせてしまったかも?と気になっていましたが、結果こういう形で久しぶりにお話しできたことがとても嬉しいです。1986年、SIONさんがデビューアルバム『SION』で描いた歌の主人公。「新宿の片隅から」「コンクリートリバー」「俺の声」「街は今日も雨さ」…。まだ長崎で高校生だった僕に、その主人公の生き方はとてつもない衝撃でした。その後、高校を卒業して長崎市内の会社に就職するのですが、アルバムの世界観に魅了されていた僕はわずか5ヶ月で退社し上京。18歳の何も持ってない子供が、バイクを売って手にした20万円を靴下の中に忍ばせ、寝台車に乗って東京を目指しました。ギター1本だけを持って…。今思い返すと、母親はさぞ心配したでしょうね。雅治は東京でどうなるのだろう…「古着屋をやる(もちろん嘘)」って言うとったけど、それで食べていけるとやろうか?ちゃんと生きていけるのか…。なのでSIONさん、この機会に僕の母ちゃんに謝罪してもらっていいですか。息子さんを東京に誘惑したのは私です。かけがえの無い親子の時間を奪ってしまって申し訳ありませんでした!と。というのは勿論冗談ですが(笑)、今僕が東京で生きているのは間違いなくSIONさんの歌の影響なのです。「SIONはなんで俺の気持ちをこんなにわかってくれてるんだろう?ていうか、SIONの歌は俺の歌だ」と、こんな風に思って日本中から上京してきた少年は、この東京にたくさんいるでしょう。僕もそのひとりです。そして今もSIONさんは新宿の片隅、東京の片隅で静かに呑んでるんだろうな、と。

この30年の中でSIONさんにお会いしたのは数える程しかありませんが、どうにもこうにも勝手に近く感じてしまってまして。ファン心理と言うのは30年以上経っても変わらないものですね。『SION』というアルバムはまるで初恋のように鮮明に僕の心に刻まれています。

そしてデビュー後、なんと幸運なことにSIONさんにお会いすることができました。実際にお会いしたSIONさんは、ユーモアがあって、繊細で、何より人に優しい人でした。だからこそSIONさんの歌は、いつも誰かの「俺の声」になるんでしょうね。

世の中には、どうしたって社会の求める、いわゆる"普通"からはみ出してしまわざるを得ない人もいる。SIONさんの眼差しははみ出してしまう人、もしくは自分という枠からはみ出せない悔しさを感じてる人、どんな人に対しても等しく優しさが注がれているのではないでしょうか。

僕が『Sorry Baby』をカバーさせてもらった頃、SIONさんはよく飲み屋でこんなふうにファンから絡まれてた、と。「どうして福山みたいなやつに、俺たちの大好きな『Sorry Baby』をカバーさせたんだ!」と。そうしたらSIONさんはこう返したと教えてくれました。「お前らが酔っ払って、どこかでクダを巻いたり、俺に絡んでいるあいだにも、福山は仕事をしてるんだ。寝る間もないくらいドラマやったり曲を書いたりしてるんだ。だからお前らなんかよりあいつのほうがよっぽどロックしてるよ」。

SIONさん凄いですよ。そうやって自分に絡んできた人たちですら決して切り捨てないなんて。そんなふうに絡まれたら、僕だったら「なんかいろいろなしがらみでそうなっちゃってさ」って流しちゃう。でもSIONさんはそうしない。僕に対しても、絡んできた人に対しても、筋を通す。

今回、僕の30周年でコメントをいただくという企画にSIONさんは「自分で文章を書くから」とおっしゃって寄稿してくださったのも、どこまでもSIONさんだな、と嬉しかったです。自分の気持ちは人を介さずに純度100パーセントで届ける。世の多くの人が、直接相手に伝えることをせず、間に人を介することで様々な予防線を張るのがマナーみたいになっていますが、そうじゃない。いちファンとしての幻想は重たいかもしれませんが、やっぱりSIONさんはずーっとSIONさんのままです。

なんだか結局、"34年越しのファンレター"になっちゃいました(笑)。スミマセン…。とにかくSIONさん、変わらずお元気でいてくださることを同じ東京の片隅から心より願っております。

福山雅治
目次
  • 01 大泉洋(俳優)
  • 02 大友啓史(『龍馬伝』演出家)
  • 03 木﨑賢治(「Good night」音楽プロデューサー)
  • 04 千葉幸順(コンサート制作会社社長)
  • 05 萬年里司(音楽プロデューサー) × 06 川上泰司(宣伝プロデューサー)
  • 07 SION(シンガーソングライター)