アナログ盤の制作にあたって
福山雅治自身が、2015年にリリースした弾き語りカヴァーアルバム『魂リク』の制作をきっかけにあらためて実感した、アナログレコードならではの音楽体験。
それは、音をただ「聴く」だけではなく、まるで目の前で演奏されているかのような立体感や、音からその場の空気までもが浮かび上がってくるような感覚です。
1990年代から2000年代にかけて制作された楽曲には、音を過度に詰め込むことなく、楽器と楽器、音と音のあいだに生まれる「空間」を活かした音楽的な魅力があります。
その魅力を最大限に引き出すため、今回のアナログ盤では、すでにマスタリングされた音源を単純にレコード化するのではなく、マスタリング前の最終ミックスまで遡り、アナログレコードに最適化した音作りを施し、カッティングを行いました。
さらに、一般的なLP盤で採用される33回転ではなく、より高い音質を追求して45回転を選択。
レコードは、盤面の中心から遠い外周部ほど、同じ時間の中でより長い距離に音の情報を刻むことができ、一般的に外周側の方が高い音質を保ちやすいという特性があります。
そこで今回は、音質が変化しやすい内周部分への収録をできる限り避け、12インチ(約30cm)盤の外周部を贅沢に使う設計を採用。
その結果、通常のLP盤とは大きく異なる、4枚組・片面2曲という、音質を最優先した仕様が実現しました。
カッティング作業は音の細部を確認しながら、2日間かけて入念に行われました。
その音作りにあたっては、他アーティストによる高音質レコード作品との聴き比べを重ね、理想のサウンドを追求。なかでも重要なリファレンスとなったのが、2007年リリースの『服部良一 ~生誕100周年記念トリビュート・アルバム~』のアナログ盤。同作には、福山本人がカヴァーした「東京ブギウギ」が収録されており、そのサウンドミックスを手がけたのは、今回の1990年代ベストアルバムを担当したエンジニアの三浦瑞生氏。今回のアナログカッティングにおいても、この「東京ブギウギ」を参考にしながら理想の音像を徹底的に追求しました。
そして、4枚組という贅沢な構成によって生まれた収録スペースには、ボーナストラックとして2019年リリースのライブ弾き語りアルバム『DOUBLE ENCORE』から、日本武道館公演で披露された「雨のメインストリート」が追加され、全16曲収録となりました。
アナログ盤『THE LATEST IS THE GREATEST vol. 1「残心」』は、CDに収録されている1990年代ベストアルバムの音源をそのままアナログレコード化しただけの作品ではありません。
音源の選定から、回転数、収録時間、盤面上の収録位置、そしてカッティングに至るまで、ひとつひとつの工程を「音質」という一点から見つめ直し、福山雅治が追求する「音楽を聴くという体験」そのものを、アナログというメディアを通じた「極上の体験」へと昇華させることを目指し、新たな作品として形にした、大きな手応えを感じる4枚組です。
音楽をより便利に楽しめる時代に、あえて時間と手間をかけ、音質を最優先してつくり上げた本作は、『残心』というタイトルが示す通り、まさに"心を残さず、出し切った" 渾身のアナログ盤として完成しました。是非お手に取ってお楽しみください。